池川佳宏の記録帳

マンガ業界のはじっこで、あまり他の人がやっていない仕事をしていた池川佳宏の記録です。

TBSラジオ「アフター6ジャンクション」に、マンガ原画特集と矢口高雄特集で出演しました

2020年、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」のコーナー「ビヨンド・ザ・カルチャー」に11月11日・12月8日と2度出演しました。すでに過去2回出演しているので、合計4回出演したことになります。

11月11日は「マンガ原画のアーカイブ最前線」をテーマに、秋田県にある横手市増田まんが美術館の大石館長とZOOMで中継し、マンガ原画の現状と数量、横手市増田まんが美術館の取り組みと館の設立に大きくかかわりのある矢口高雄先生についてお話しました。

特集:マンガ原画のアーカイブ最前線

https://www.tbsradio.jp/archives/?id=p-536290

(上記ページで、特集の音声が登録なしでも聞けます)

しかし、その後すぐの11月20日、大変残念なことに矢口高雄先生が逝去され、数日後に公になりました。TBSから急遽連絡があり、12月8日に矢口高雄追悼特集を組むため解説者として再登板してもらえないかとの依頼がありました。僕は矢口高雄の専門家ではないものの、研究者としてそれなりの知見はありましたので受けることにしました。何より、ご遺族の方から「11月11日の放送を、病床の矢口先生が亡くなる1週間前に聞かれていた」と聞き、このご縁を大事にしようとの思いが強くありました。

特集:マンガ家・矢口高雄は、今でも最高のマンガ家である!

https://www.tbsradio.jp/archives/?id=p-544366

(上記ページで、特集の音声が登録なしでも聞けます)

12月8日の追悼特集では、矢口高雄のマンガ史での位置づけと評価、そして矢口先生特有のエピソードをお話しました。天才的な画力を持ち、銀行員からマンガ家になられた矢口先生は語るトピックが多数あり、硬軟とりまぜて楽しくお話することができたと思います。次女のかおるさんにもZOOMでご出演いただき、ご家族ならではのお話もたくさん聞くことができて、素晴らしい回となりました。

驚愕する矢口先生のエピソードに、「原稿はすべて締め切りの一週間前に納品していた」というものがあります。銀行員出身ならではの(?)誠実な仕事ぶり、かつあの画力という人柄と才能は、すべてのマンガ家さんの尊敬するところでしょう。その矢口先生が「亡くなる一週間前に、11月11日放送の録音を病床で聞かれた」と聞き、なんてキッチリした矢口先生らしいエピソードだろう、と感涙しました。矢口先生、聞いてくださってありがとうございました。

TBSラジオ「アフター6ジャンクション」の裏話をちょっと。この番組は事前にTBSのディレクターと放送作家の古川さんとの事前打ち合わせがあり、話すネタと構成について詰めておきます。準備はそこまでで、あとは1発本番で1時間ある「ビヨンド・ザ・カルチャー」のコーナーでずっとしゃべりっぱなしになります。番組全体の進行台本はありますが、コーナーはほぼ「あとはおまかせ」で、構成上CM入りとCM明けに話すことの指示がちょっとあるくらいです。

僕の出演回はいつも、MCのライムスター宇多丸さんや宇垣アナとの事前打ち合わせは一切なく、やりとりはすべてぶっつけ本番です。僕は事前に用意した大量のネタを剛速球で次々に投げていくのですが、すべての球を宇多丸さんは華麗にキャッチしてくれるので、生放送でも心配なくどんな球を投げることができます。ラップで鍛えられた宇多丸さんの現場対応力がこの番組を成立させているわけですね(即興ジャズで鍛えられたタモリさんにも通ずるところがありますね)。

それにしても、「アフター6ジャンクション」は3時間番組で濃いゲストが毎日3人出て、それを月~金の帯番組生放送をやるなんて、宇多丸さんと放送作家の古川さんはものすごい胆力です。素晴らしい番組に出させていただいてありがとうございました。

★池川出演のそれ以前の放送回はこちらです

(音声は下記のページの再生ボタンでは聞けませんが、radiko(ラジコ)をインストールして同番組アーカイブを探していただくと無料で聞けます)

・特集:巻と号。マンガ雑誌の“号数”に注目するとアーカイブの大切さと雑誌についての理解がギンギンに深まっていく特集

https://www.tbsradio.jp/archives/?id=p-286864

(雑誌巻号の沼について、マニアックにかつ楽しく語った回です。副読本として『マンガ研究』24号「雑誌書誌の巻号や日付の関する報告」もどうぞ)

・特集:過去のデータで、未来が見える。地道な調査で、驚きが生まれる。 マンガとアーカイブ特集

https://www.tbsradio.jp/archives/?id=p-383765

(マンガ単行本や雑誌などのアーカイブの現状とそこからわかる調査結果について楽しく語った回です)