池川佳宏の記録帳

マンガ業界のはじっこで、あまり他の人がやっていない仕事をしていた池川佳宏の記録です。

コミックマーケット100 (2022年8月13日(土・1日目)) に頒布されるふたつの同人誌に寄稿しました

2022年8月13日(土)・14(日)開催のコミックマーケット100  で頒布されるふたつの評論同人誌に寄稿しましたので、ぜひお求めください。

■ひとつめ 13日土 東ヘ26b フラクタル次元『内山亜紀評論同人誌 亜紀ねいた〜』

昨年発売され、研究ページも盛りだくさんな『あんどろトリオ 完全復刻版』に補足的な内容の同人誌です。僕は「手塚治虫が見たロリコン美少女文化・おたく前史 - 内山亜紀への嫉妬、その真実に迫る」という論考を10ページ寄稿しています。噂として流れている、「手塚治虫内山亜紀への嫉妬として『プライム・ローズ』を描いた」という都市伝説は果たして本当なのか、内山先生へのインタビューと多方面の当時の資料を調べつつ、81~83年の「プレおたく史」について手塚治虫の目から見た状況をふりかえるという内容になっています。手塚研究はたくさんありますが、この時期の手塚にフォーカスをあてた貴重な研究になっていると思います。

なお、この寄稿と並行している、手塚治虫公式サイト「虫ん坊」での黒沢哲哉さんの連載も、同じ方向を違うアプローチで追及しています。こちらの記事も併読していただくと、より立体的に当時の状況や「プライム・ローズ」について知ることができるようになっていますので、この連載もぜひ。

手塚マンガあの日あの時+(プラス) シリーズ企画 手塚マンガとブーム:美少女マンガ・アニメブームの時代(1977-1985) 第1回:『プライム・ローズ』VS『あんどろトリオ』|虫ん坊|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL

 

■ふたつめ 13日土 東ヘ25a 夜話.zip『〈エロマンガの読み方〉がわかる本5』

こちらは小特集「日本短編エロ漫画傑作集」への寄稿で、個人的な思い入れのあるエロマンガを3点ピックアップしました。個人的なおすすめと今年書籍発売された『エロマンガベスト100+』に補足する情報となっております。僕がネット上で話題となった「レ研」にいた話(?)とかはあまり他で語っていないので、興味ある方はどうぞ。

今回でC100となるコミケですが、初参加は大学に入って先輩のマンガ批評サークル「Mechanism of Vision」の手伝いでサークル参加した1995年夏のC48からですので、もう全体の半数以上かかわっているということになります。このサークル内で初編集したのが1998年夏C54の『この女(エロマンガ)でヌけ!』という54ページオフセットの評論本で、当時かなり画期的なエロマンガガイドブックでした。この本をプレゼンに使って出版社の面接を受け、1999年には出版社に入社して編集者になります。そういうターニングポイントの本でした。「Mechanism of Vision」のサークル参加活動は2005年までで終了します。

個人的事情で本年中に東京から引っ越すため、コミケの参加はおそらくC100が最後になるかな、と思います。最後の参加で、エロマンガにかかわる同人誌に寄稿することができて光栄に思います。